『防菌、防臭、保水、防黴などの機能を印刷する!』
京都府立大学大学院 生命環境科学研究科 細矢 憲
協力(大平印刷㈱、りてん堂、京都産業技術研究所)
■技術概要
~機能性微粒子の印刷を通した濃縮、多層化、デザイン化であり、次の要素技術で達成している~
・抗菌機能などの機能性微粒子を希薄水溶性インク化する
・友禅印刷技術を応用して機能性微粒子の水溶性インクを種々の支持体上にデザイン性を持たせて印刷する
・印刷後のインク液体成分の蒸発により、印刷した機能性微粒子の濃縮と多層化が達成される
~この結果、機能性微粒子の機能が濃縮されその機能が効果的に発揮される。種々の生活の場面の資材にこの技術を応用することで、生活環境や人のQOLの改善に役立つ技術である~
■アピールポイント
・印刷することにより、機能性微粒子の機能を損なわず固定化、多層化ができる!
・多層化により、機能性微粒子の効果を大きく発揮させることができる!
・デザイン性を持たせることができ、様々な情報発信が可能になる!
■想定される用途
・抗菌シートやノート
・防臭性インソールや壁紙
・調湿性の壁紙や防湿シート
・防黴性の内装材や保存シート
・名刺、触地図(触知地図)
■炭印刷による防臭シートや抹茶印刷による抹茶メモ、触地図(触知地図)も実現!
研究協力された大平印刷の玉岡明彦氏にお話を伺いました。
~研究協力のきっかけを教えて頂けますか~
『はい、京都ビジネス交流フェアという大きな異業種マッチングの催しに「友禅印刷」という大平印刷固有の技術をアピールするために数年続けて出展しておりまして、3年前に細矢先生と引き合わせて下さる方との出会いがありその後、興味を持っていただき何度かテストサンプルを提出するうちに可能性を見出していただきました。細矢先生は御縁をとても大事にされておられますので、その、お人柄もあり今日にいたっていると思います。』
~研究協力をして良かった点は~
『まず、なんと言っても大学が持つ設備や知見を共有できる点です!また場合によりますが・・・大学との関係も深まり、本研究以外の相談などもできますので課題解決に大きく貢献してもらっています。
また多くのコーディネーターとの関係も構築できますので様々な情報の取得が楽になり判断材料が増すとことで開発にスピード感も出てきました。』
~今後、産学連携を望んでいる企業にアドバイスをお願いします~
『産学連携を始めるにあたり採算性や予算、期間などもですが・・・一番に開発の見込みを考えられると思います。単独で開発あるいは研究が困難なため連携するのですからいくら綿密に計画しようとも上手くいかない時も多いはずです。開発の見込みに加えて発想の飛躍をはかるための「楽しい」「面白い」などの動機も含めて連携可否の判断をするのもひとつかと思います。この考え方は、細矢研究室との連携でも活かされていて、継続的な研究協力への発展にも繋がりました。
「聞くは一時の恥」と言いますが分からない事や出来ない事を率直に相談でき本音で付き合える間柄がベストではないでしょうか?
知財などデリケートな部分もある産学連携ですが、あまりに事務的に進めてしまうと進みにくいこともあろうかと・・・性格が異なる大学と企業が共同して行う産学連携ですが、互いの立場に理解を示し尊敬をもって接するべきですね。私は、信頼に足る人間関係なくして継続するのは難しいと感じており、最後は人と人だと感じております。』
『また、新規事業開発にあたり様々な地域で耳にするのが大学に対する敷居の高さです。
「どこへ行けば相談できるの?」 「気軽に頼めない・・・」 「コーディネーターの話が分からない」 「申請書などの書類が難しい」など、よく聞きました。中小企業の方で産学連携を望んでおられる方が多いのに実現に至っていないのはとても残念に思います。ぜひ、産学連携を検討中の方は大学の産学連携部門まで問い合わせて欲しいです。』
〈 インタビュー企画/(社)産学連携推進協会〉
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