【アグリビジネス創出フェア2023】簡単で、素早く、動物にやさしい採血を実現したい~簡易迅速微量採血器具の開発~
- 2024/2/26
- 大学のシーズ
宮崎大学 農学部 獣医学科 産業動物伝染病防疫学研究室 教授 関口 敏
■開発の背景と構想
従来の採血器具は、採血針とホルダー、採血管を別々に用意し、採血時にそれらを組み立てて使用します。採血の際には、動物を保定し、体の深部にある主要な血管から数ミリリットル単位の血液を採取します。その後、血液は厳重に梱包し、冷蔵状態で輸送・保存をする必要があります。
これらの作業には、採血技術、作業にかかる時間、冷蔵コスト、動物への負担を必要とします。
そこで私たちは、穿刺と採血をワンステップで完結できる簡易迅速微量採血器具を考案しました。現在、この発明の実用化を目指し、器具の部品を作製していただけるメーカーを探しています。
簡易迅速微量採血器具では、人の医療分野で導入が始まっている乾燥血液スポット法(DBS法:手指から少量の血液を紙に吸収させて採取する低侵襲な採血方法)に着想を得て、動物の皮膚の表面に近い毛細血管から少量の血液のみをろ紙などの吸着材に採取する手法を取ります。
コンパクトで、技術を要さない、一瞬で終わって動物への負担を減らせる採血器具を提供します。
■ワンプッシュで完結。ペン型簡易迅速微量採血器具
ペン型の簡易迅速微量採血器具は、中空の本体、本体に内蔵された針部、針部を覆うように摩擦固定したチップを備えています。
チップ先端には吸着材が内蔵されています。
チップは取り外して保存容器に収納して郵送し、検査の際に検体として使用します。
■マッチングのポイント ≪以下の3つの部品を作成していただけるメーカーを探しています≫
①針部・・・太い血管を狙わずとも毛細血管から微量の出血をさせる針。痛みを軽減し、動物への負担を減らします。
[希望する特徴]
#細くて丈夫な針
#痛みを抑える針先のカット
#ハンコ注射のような複数針構造
②吸着材・・・チップの先に内蔵され、一滴の出血を吸い取る部分。乾燥後は検査の検体として使用します。
[希望する特徴]#血球成分を保持しやすく、核酸抽出を阻害しない素材の吸着材
#チップ先端に吸着材を固定するための構造・加工法
③保存容器・・・採血後、チップを回収して検査機関に郵送するための容器。検査機関では保存容器ごと検体処理を行います。
[希望する特徴]#チップを収納して密閉できる容器
#内側にツメをつけ、チップをひっかけて外せる構造の容器
#耐熱性・耐性薬性・低コストの素材
■お問い合わせ
宮崎大学産業動物防疫リサーチセンター 防疫戦略部門
農学部獣医学科 産業動物伝染病防疫学研究室
〒889-2192
宮崎市学園木花台西1-1
TEL&FAX:0985-58-7676
E-mail: sekiguchi@cc.miyazaki-u.ac.jp