【seeds食】カシス抽出物は更年期障害の軽減に有効か?

『カシス抽出物は更年期障害の軽減に有効か?』

弘前大学 大学院保健学研究科  助教 堀江香代 / 准教授 七島 直樹

 

■概要

カシスはポリフェノールの1種であるアントシアニンやビタミンCなどを多く含むことから血流改善、眼精疲労の回復や美容効果などが推測されてきたがその詳細は不明であり、更年期女性に対する効果は未知であった。 我々はこれまでに更年期モデルとして卵巣除去ラットを用い、カシス抽出物の摂取が血管の拡張や柔軟性を改善する因子を増加させること。および、体重や中性脂肪を減少させることを明らかにしてきた。さらに皮膚に対してはカシス抽出物の摂取によってコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸の増加が認められるなど高い美容効果を示すことを明らかにした。また、毛包においては毛包当たりの毛の本数の減少が抑制され、更年期前の状態を維持できることを示した。このことから、カシス抽出物には女性の更年期症状の軽減に役立つような有効な成分が含まれている可能性が考えられ、今後は企業と協力してこれらを使用したサプリメントなどの開発も視野に入れている。 加えて、カシス抽出物にはエストロゲン効果を有する成分としてよく知られているアントシアニンだけでなく、未知のフィトケミカルの存在も推測されており、今後はカシス特有のフィトケミカルを見出していく予定である( JST 研究成果展開事業 A-STEP機能検証フェーズ 「カシス含有成分を用いた新規食品素材の開発」 )。

 

■カシスとは

・カシスは1.2~2m程の低木で、北欧やニュージーランドなどの冷涼な地域で栽培されている。

・”カシス“はフランス語の名称で、英語では「ブラックカラント」和名では「黒房すぐり」と呼ばれる。

・ビタミン、ミネラル類、ポリフェノール(アントシアニン)を多く含む。

・青森県のカシス生産量は全国最大であり、「あおもりカシス」は2015年に地理的表示保護制度の第一号に認定されている。

 

■想定される活用例

・更年期症状の軽減を対象とした、カシスエキスやカシス有効成分を含むサプリメント、ドリンク、ゼリー等の開発。

 

■特許情報

特許情報 発明の名称:更年期症状の軽減効果を有するカシス抽出物の有効成分および飲食物、化粧品、並びにその使用方法

特許情報:出願人           国立大学法人弘前大学

特許情報:発明者           堀江 香代, 七島 直樹

特許情報:出願日           2019.05.16

特許情報:出願番号        特願2019-93226

 

■お問い合わせ先

弘前大学研究・イノベーション推進機構 東京事務所

メールアドレス:j-tokyo@hirosaki-u.ac.jp

電話:03-3519-5060   FAX:03-3519-5061

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