【時間栄養学からみる夏の過ごし方】暑い夏を健やかに過ごす方法を専門家のお二人に伺います

暑い夏がやってきました!イベントも多くなるこの季節ですが、なんだか疲れている、よく眠れない、太りやすくなった、、なんて方いませんか?もしかすると、体内時計の乱れが原因かもしれません。そこで、知って頂きたいのが“時間栄養学”。暑い夏を健やかに過ごす方法を専門家のお二人に伺います。

愛国学園短期大学 特任教授

広島大学大学院 医系科学研究科 特命教授

早稲田大学名誉教授 

柴田 重信

愛国学園短期大学 准教授

早稲田大学 持続型食・農・バイオ研究所重点領域研究機構 招聘研究員

古谷彰子

―まず、時間栄養学」について簡単に教えてくださいー

柴田『私たちの体には体内時計が備わっています。これは、「睡眠と覚醒」「体温変化」「ホルモン分泌」「糖・脂質代謝」などの生理機能をおおよそ「24時間と少しの周期」でコントロールする重要な機能です。この体内時計は朝昼夕で異なった働きをするので、同じ人が同じものを食べても食べるタイミングで効果が変わってくることがわかってきました。体内時計と食事・栄養は両者に相互関係があると考え、研究をするのが「時間栄養学」です。

―バランスの良い食事や食べる量については考えたことはありますが、食べる時間によって効果が変わるとは驚きました!今回は、その“時間栄養学”からみた夏の過ごし方を教えて頂きたいのですが、夏バテを予防する方法はありますか?―

柴田『そうですね。まず大事なのは、睡眠をしっかりとることです。夏は日がだんだん長くなっていきますから朝早めに目覚めてしまう。また、夜は暑さで寝苦しくなかなか寝にくいとか。結果的に睡眠時間が短くなってしまいます。このように、体がいわゆる夏時間になってしまうと、体内時計がずれていってしまいます。ずれてしまうと、疲れやすくなったり、太りやすくなったり、更には病気につながることもあるので、気をつけてほしいところです。』

―体内時計がずれてしまったらどうしたらよいのですかー

柴田『朝食を摂ることです。朝食は、ずれている体内時計をリセットしてくれる役割がありますから。』

―朝食あまり食べていませんでした。。時間としてはいつ食べるのがよいのですか?―

柴田『起きてすぐが理想ですが、起きてから遅くとも二時間以内には食べてほしいです。

―どんなものを食べるとよいでしょうか、おすすめはありますか?―

古谷『はい、しっかりとタンパク質を摂ってください。それが、夜の睡眠を促します。日本人の食事摂取基準というものがあるのですが、 大体一般の成人で1日に摂るカロリー数の13%になるので、朝摂るタンパク質はだいたい20グラム。でも、なかなか朝20グラム摂れていない方が多いです。そこで、いつもの食事に卵1個足してみましょう。卵1つで約7グラムのタンパク質になるので、いつも目玉焼き1個だったのを2個にしてみようとか。そのように、牛乳だったり、納豆だったりを1つプラスして食べると良いかと思います。

柴田『朝しっかりタンパク質を摂ってると、タンパク質を構成するアミノ酸のひとつである“トリプトファン”が、日中には“セロトニン”というホルモンに変化して、更に夜には睡眠を促すホルモンである“メラトニン”になると。これがよく寝れるようになる仕組みです。』

―起きてすぐにタンパク質を食べるのはやや厳しいと感じましたが、それが睡眠にもつながるのですね。昼食や夕食に関してはどのようにすると良いでしょうか―

柴田『昼食は、朝食を摂ってから5時間後が理想です。体内時計の働きにより消化吸収に関わる臓器は日中活発なので、その時間に食べることでエネルギーを効率的に摂ることができます。また、夕食は、朝食から10時間、遅くとも12時間以内が理想です。夜遅く食べると、消化吸収の能力が落ち、内臓の負担も大きくなります。』

古谷『昼は脂肪が蓄積されにくい時間帯でもあるので、揚げ物や炒め物など脂質の多いメニュー、例えば、ラーメンやパスタなど食べたいときは、晩ごはんに食べるよりもお昼ごはんに食べるとよいです。また、夜はエネルギー消費が落ちて太りやすくなりますから、量は控えめがよいですね。』

―私、夕食が一番一日の中で量を多く摂っていたのですが、、、なにか食べ過ぎない工夫はないでしょうか―

柴田『私が実践していることですが、ご飯類(主食)やメインのおかず(主食)は決まった量しか椀や皿にのせないといことです。例えば、大皿にから揚げがのっているとすると、次から次へと箸が進んでしまうでしょ。なので、そういったものは、皿にのっている状態で食べる。その数しか食べないという風にしています。』

―なるほど、お店の定食のような感じですね。やってみます!あと、気になったのは間食なのですが、食べてもよいですか?―

古谷『夕食2~3時間前の摂取はよいです。昼食から時間をあけて夕食となると、急に血糖値が上がってしまいます。その上昇を防ぐためにも、間食はよいですよ。食物繊維が多めで、多少、炭水化物や甘いものがあってもよいです。さつまいもは優秀ですね。あとは、ナッツやドライフルーツ、グラノーラなどはお薦めです。』

柴田『カステラなどのケーキは、急激に血糖を上げますから食べすぎは気をつけましょう。

―甘いものが、好きなのですが、、気をつけたいと思います。色々と時間栄養学的な過ごし方や食べ方を教えていただきましたが、先生ご自身も体内時計を意識した生活をしているのですか?―

柴田『そうですね。私は、ほぼ毎日同じルーティンで過ごしています。朝は5時に起きてメールなど確認し、5時半くらいから小1時間散歩。その後、朝食です。うちは和食と洋食が曜日ごとに決まっていて、メニューも大体同じです。タンパク質はもちろん、野菜や炭水化物もバランスよく摂ります。それから7時ぐらいには家を出て、大学に8時前には着いています。それからは仕事。 昼ご飯は弁当です。』

古谷『そのお弁当、私、いただいてました!美味しかったです。』

―古谷先生は柴田先生の教え子でしたものね―

古谷『そうなんです。柴田先生が、急に仕事の関係で食べられない時にいただいていて、、良い思い出です。』

柴田『確かに、よくあげていたなあ(笑)その頃、研究で血糖値を測る機器をつけていまして、お弁当を食べると上がってしまうことがわかりました。妻にお願いして、白飯の量自体を少し減らしてもらうのと、4分の1を麦にしてもらいました。すると、血糖値の上がりが緩やかになったので、その後も続けています。そして、夕食はだいたい20時半位。21時にはならないよう心掛けています。夜遅くなればなるほど血糖値は上がってしまいますからね。このように、生活をしていますと、私の血糖値はびっくりするほど安定していますよ。一日の中での1週間分の平均ときれいにいつも同じ値をしめしますから。』

―すごいです!古谷先生は時間栄養学を取り入れた生活されていますか?―

古谷『朝食はしっかり摂るようにしています。私は夜型なので夜はいつまでも起きていられてしまうんです。なので、普通に生活しているとどんどん体内時計がずれてしまいます。そこで、朝食を摂ってリセット!今は、こどものお弁当を作らないといけないので、起床は5時半です。その後、子どもと学校まで一緒に行って、それが運動となっています。』

―なるほど。お二人とも、生活のリズムが整っているのですね―

柴田『そうですね。夏バテ予防だけでなく、日々健康に過ごすためには、やはり生活のリズムを乱さないことが大切です。朝、起きたら、まず光を浴びて、朝食を摂る。適度な運動。食べ過ぎも注意です!

古谷『先日、凄く不規則な生活をしているテレビ局の方が、“朝はとにかく起きてしっかり食べる”ということだけを実践したら、昼も夜もそんなにお腹空かないということで、 4キロ痩せたそうなんです。まだ続けますとおっしゃっていましたが、うまくいったケースですよね。』

柴田『朝がんばって食べて昼夜がだんだん少なくなっていくケース。 基本的に1日のカロリーが重要です。1日のカロリーをどう配分するか。そしてトータルの量が適切かです。

―朝がっつり食べて、夜減らすといった分配をしても、沢山の量を摂っていてはダメということですね―

古谷『はい、一日の摂取カロリーの目安は成人女性が約2,000~2400kcal、成人男性は約2,400~3,000kcalですから、全体の量は知っておいてほしいです。』

―時間栄養学的過ごし方、大変参考になりました!―

古谷『習慣になったら目覚ましがいらなくなり、自然に目覚めるようになります。その心地よい目覚めを感じてほしいですね。色々とポイントをお伝えしましたが、朝食は必ず食べるとか、遅い夕食は控えるとか自分なりにできることを1つでも実践してみていただけたらと思います。』

柴田『夏は誘惑が多い季節です。夏休みにお盆と生活のリズムが乱されることでしょう。でも、どんなに遊び疲れていても、どんなに昨晩お酒を飲んだとしても、なにがなんでもいつも通り起きる!!これがポイントです。がんばってください。』

■時間栄養学的過ごし方・まとめ■

朝は、まず光を浴びて、朝食は起きてすぐ食べる!タンパク質摂る!

昼食は、朝食を摂ってから5時間。炭水化物や脂質を摂ってもよい!

間食もOK!夕食の2~3時間前くらい。食物繊維意識!

夕食は、朝食から10~12時間以内。遅くに食べない!1日の食事量を考えて!

休日でも生活のリズムは変えずに過ごしましょう♪

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