【  産学連携を進めるためには   ~医師の視点から~   】

今回は、大学の附属病院で沢山の患者さまの診断や治療、またご研究もある中、産学連携にも積極的に取り組んでいらっしゃる大阪医科大学皮膚科の森脇真一教授にお話をお伺いしました。

 

企業から様々なお話があると思いますが、どのような依頼が多いのでしょうか。

『そうですね、毎年数件、新規にコンタクトがあります。私は皮膚科医ですので、化粧品関連、美容機器関連がほとんどです。』

 

その中で、受けるかどうかはどこが決め手となりますか。

『やはり、企業に熱意があるかどうかです。そして、その企業が我々と共同で何を求めているのか(コンセプトとクリアなビジョン)、それが産学連携で達成可能か、 我々の大学で研究可能な内容なのかを思案します。最後に企業が出せる資金です。これらすべてが満たされれば連携へと繋がります。

 

これまでの産学連携ではどういった例がありますか。

『はい、

・美容関連化粧品の有効性、安全性について臨床試験を実施して、安心・安全で良いものを発売できたこと。

・美容関連機器の開発のお手伝いをして上市されたこと。

・スキンケア関連の新規商品の有用性を臨床研究で明らかにできたこと(HP,パンフレットで活用中)。概ねこのようなパターンが多いです。』

 

なるほど、化粧品や美容機器は臨床試験をしないと確かなエビデンスが得られませんからね。  期間もかなりかかりますね。

『検証するものにもよりますが、検証するにあたっては様々な工程が必要です。企業が求めていることを我々も共有し、その後、検証のためのプロトコルの作成、倫理委員会への申請、審議、そして承諾後に検証試験をスタートし、検証結果をまとめます。時に学会での成果の発表や、結果を論文にまとめることもあります。ある企業との産学連携を決めてから検証結果をまとめるまでには、短くても1年はかかりますね』

 

今後、産学連携をすすめるためにはどうしたらよいでしょうか。

企業と大学がともにウィン・ウィンの関係で実現できるようなプロジェクトを検討するべきです。そして、企業と大学を結ぶ第三者的な(橋渡し的な)機関の存在が有用です。実績があり、かつ倫理面、法律面を含めて産学研究に精通しているような機関であれば、産学連携を推し進めることができると考えます。また、大学が所在する地元(地域)の企業との連携も模索していくべきですね。更にそこに、県や市の経済的、実際的サポートがあれば尚、産学連携(産学官)は発展していくと考えます。国としても産学官連携については推進の方向ですから、本学としても引き続き積極的に取り組んでいく所存です。』

 

大阪医科大学 森脇真一教授(皮膚科専門医 医学博士)  

専門分野:光皮膚科学、美容皮膚科学、遺伝性皮膚疾患

 

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