【インタビュー企画】昭和大学ベンチャー第一号   ㈱旗が岡ネイチャー研究所

【SDGs原料で社会を元気にしたい!】こう語るのは、昭和大学初ベンチャー“㈱旗が岡ネイチャー研究所”を立ち上げた塚田愛先生。研究のきっかけから、現在の状況、産学連携を視野にいれている企業にも役立つお話、伺いしました。

―早速ですが、【SDGs原料で社会を元気にしたい】のココロを教えていただけますか?―

はい、まず私が小学校6年の時なのですが、地球温暖化の問題が大きく取り上げられていました。悪さをするフロンガスは、主に工場から出ているのだから、企業はフロンガスの処理まで考えて生産しなくてはいけない!という考えを持っていたんです。

―すごく、立派な6年生でしたね。素晴らしいです―

自然環境については、自分なりの考えがしっかりとありました。というのも、母が、私がアレルギー体質ということもあって、食べるものや環境については特に自然のものを意識して与えてくれていましたし、考え方も自然に抗うことはできないのだということを、なんとなくですが、植え付けられたのかもしれません。

そこで薬学部に入学し東洋医学を学ぶために生薬学の研究室に所属しました。卒業後化粧品会社に入社します。そこで、廃棄されている農産物があるということを知りまして、企業に勤めながら東工大の大学院で廃棄農産物について学びました。

これまで43都道府県を巡って生産者のみなさんの声を伺ってきました。そうすると、やはり生産後、出荷や加工の際に廃棄されるものが沢山あるということわかりまして、それなら、その廃棄されるものを活用したいと考えるようになりました。

―6年生の時の考えが繋がってきてますね―

そうなんです。廃棄されたものから有効活用できるものを色々と探した結果、ワインが作られる際に出る残渣(ぶどうの皮や種など)にたどりつきました。このワイン加工残渣が、一般的なポリフェノールやカテキン試薬と比較すると格段に抗酸化活性が高いことがわかったんです。』

―ポリフェノール!健康に良いと聞きますよね。効果が高いとなると企業としては期待しますね―

そうなんですけど、私のモットーが“社会もモノもサスティナブル”という考えをもっていまして、目標としてはみんなを笑顔にしたいということがあります

―えーと、、どういうことでしょうかー

まず、農家では農産物を生産しますが、その近くに製品を加工する工場があれば、閑散期にも仕事ができますよね。既に、農家では高齢化が進んでいますが、今後も健康な高齢者でいるためには、体を動かしていることが重要です。また、そこでコミュニケーションも生まれますよね。社会的参加は健康に繋がるというエビデンスもあります。そう考えると、自治体にもご協力いただきたいですし、一企業に勤めているよりも、アカデミアの立場から、より広くより多くの方の支援につながるような研究開発をしていけたらと思い、昭和大学にうつったんです。』

―なるほど、仕事も増えて健康にもなる、となると人手不足や医療費問題などの解消にも繋がりますので、良い循環になりますよね。また、自治体の協力となると一企業よりも大学の方がやりやすいですもんね―

そうなんです。実は昭和大学は母校なので、建学の精神である“至誠一貫”、つまりは実地に役立つ医療、常に相手の立場にたって、まごころを尽くすという精神でですね、研究開発から事業化するプロジェクトを立ち上げ、ベンチャー設立に至りました

研究結果としては、①一般的なポリフェノール原料よりも高い抗酸化活性があるということ。②日焼けモデルマウスへの効果(日焼けによる炎症や色素沈着を軽減)③関節リウマチ炎モデルマウスへの効果(炎症や関節・骨の破壊軽減)④社会孤立ストレスラットへの効果(攻撃性を軽減)とこういったことが分かっていますので、美白・UV効果を期待した化粧品やサプリメントやロコモティブをサポートする商材、昨今の環境の変化に対するストレスにアプローチするようなサプリメントなどの活用を考えています。

また、抗酸化活性の高いポリフェノールは、抗酸化と相反する作用となりますが、工夫すると酸化ストレスを応用した殺菌システムからマスクやトイレタリーなどの日用品などにも活用できます。

―エビデンスがはっきりと出ている原料ですし、様々な製品が開発できそうですー

『“昭和大学ブランド“ということも提示していただけますので、企業としてもメリットはあるかなと思います。現在、様々な企業にお声がけいただいているのですが、サプリメントとしては、ストレスに着目したものからスタートしようとしていまして、調剤薬局さんとのお話が進んでいます。今、薬局も個々の特徴を出して生き残りを図っていますから、その一端が担えたらと思っています。実は、これからその打ち合わせに、伺うところですよ。』

―塚田先生、ご自身も行かれるのですね―

はい、自信のある原料ですから、私も熱く語りたいですし、よく言われるのは“腰は低いけど、押しが強い”と(笑)

最初は、ストレスからスタートしますが、この原料は抗酸化活性が高いという特徴があるので、あらゆる可能性を秘めています。テーマに応じた処方を組み合わせることができますので、ぜひ興味のある企業のみなさま、ご連絡ください。また、こんな材料が余っているんだけどーなんていうお話も大歓迎です。

SGDs原料は農産物だけならず、加工で廃棄する原料も含まれますが、だからこそのオリジナリティもあります。実は、無限の可能性を秘めている素材なんです。

―最後に、産学連携を考えている企業に向けてアドバイス頂けますか―

まずは、ひとりでやろうとしない、頼りましょう。それぞれ得意なことは異なりますから、餅は餅屋です。ここでいうと、専門分野は大学に任せるとか。得意な人に分散して、ひとつものを一緒に目指してみてください。大切なのは、カタチになるまであきらめないこと。行き詰ったら少し休んで、また頑張ってみると、どこかで進んでいくと思います。

社会もモノもサスティナブル”とお話しましたが、社会自体もいろんなもので成り立っているじゃないですか。誰かが落ち込んでいたら、他の誰かが頑張ればいいと思うんです。人は、ひとりでは生きていけないですし、もうそんな時代じゃないと思うんです。みんなで分かち合っていける社会であってほしいです。』

㈱旗が岡ネイチャー研究所

昭和大学 統括研究促進センター

塚田 愛

https://www.showa-u.ac.jp/research/activitiy/kenkyu-seeds.html(昭和大学研究シーズ2023)

■編集後記

塚田先生とお話していると、こちらも笑顔になり元気が出てきます!実は、この研究のサプリメントのサンプルをいただきまして、飲んでみたところ、お肌白くなっている気がしますっ!!発売が待ち遠しいスタッフ一同です。

そして!塚田先生のベンチャー立ち上げを記念した講演会が2月15 日(木)に昭和大学上條記念館にて行われます。研究についてご興味のある方はぜひ、ご参加ください。https://forms.gle/axnEsMLr4VEU4QtX7

※詳細は大学の告知コーナーをご覧ください。

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