【seeds 質量・成分の分析】エマルションをそのまま質量分析

■エマルションをそのまま質量分析

福井大学 学術研究院工学系部門

教授 内村智博

 

■キーワード

エマルション、質量分析、安定性評価、品質管理・品質保証

 

■応用分野・用途

エマルション製品(化粧品、インク、塗料など)の製造プロセスの検証、品質管理・品質保証など

 

■研究のねらい

水と油はふつう混ざり合いませんが、界面活性剤を用いることで分散させることができます。こうしてできたエマルションは、化粧品やインク、塗料など、様々な分野で用いられています。

エマルション製品の場合、製造プロセスの違いにより最終製品の性状が変化します。例えば、成分量や撹拌方法、調製温度などにより、安定性や粘度などが変わってきます。そのため、所望の性状を有する製品を得るためには、エマルションの各調製段階での詳細な評価が必要となります。しかし、水・油・界面活性剤が入っているエマルションを直接評価することは非常に難しいのが現状です。

私たちの研究室では、新たにエマルションのオンライン質量分析法を開発し、油相成分の直接モニタリングを実現しました。この方法により、エマルション成分の定量分析や崩壊過程の1つであるクリーミング挙動の解析、成分の相間移動挙動の評価などが行えます。

 

■本手法でできること

・エマルションのオンライン質量分析ができます。

・ミクロンサイズの液滴の成分評価ができます。

・成分が液滴の中にあるか外にあるかを判別できます。

・エマルションの安定性評価ができます。

・エマルションの品質管理・品質保証に応用できます。

 

 

■さいごに

本手法がエマルション製品の開発や評価の一助となれば幸いです。どうぞお気軽にお問い合わせください。

 

■発表論文等

・Laser Ionization/Time-of-Flight Mass Spectrometry for the Direct Analysis of Emulsions, Analytical Methods, 6, 5615 (2014).

・レーザーイオン化質量分析法によるエマルションの直接分析, 分光研究, 63, 249 (2014).

・Time-Profile Measurement of an Emulsion Using Multiphoton Ionization Time-of-Flight Mass Spectrometry in Combination with a Microscope, Analytical Sciences, 32, 1059 (2016).

・A Quantitative Analysis of an Oil Component in an Emulsion by Multiphoton Ionization Mass Spectrometry, Analytical Sciences, 33, 1067 (2017).

・シラス多孔質ガラス膜乳化法により調製されたエマルションの多光子イオン化質量分析, 分析化学, 67, 11 (2018).

・Evaluating the Creaming of an Emulsion via Mass Spectrometry and UV−Vis Spectrophotometry, ACS Omega, 3, 13752 (2018).

 

■その他の研究テーマ

・香り成分分析法の開発

・環境汚染物質の除去や分析に関する研究

 

■問い合わせ先

福井大学

産学官連携本部 知的財産・技術移転部 titeki@ad.u-fukui.ac.jp

学術研究院工学系部門 内村智博 uchimura@matse.u-fukui.ac.jp

福井大学  学術研究院工学系部門 教授 内村智博

投稿者プロフィール

国立大学法人 福井大学
所在地 福井県 福井市
学術研究院工学系部門 教授 内村智博
webサイト https://www.u-fukui.ac.jp/

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