【seeds 5G】システムに変革をもたらす素子応用を鑑みた半導体材料開発とその物性研究
- 2020/7/27
- 大学のシーズ
東北大学 未来科学技術共同研究センター 松岡 隆志 教授
■特徴・独自性
- 現在の高度情報化社会を支える光通信用分布帰還型(DFB)半導体レーザ:1981年、波長1.55μmにおいて単一縦モードでの室温連続発振に世界で最初に成功。レーザ作製法のメーカへの技術指導およびシステム実験用素子提供を行い、1988年にシステム導入された。現在のファイバ1本あたり伝送容量は、DFBレーザ以前の25,000倍に当たる10Tb/sに達している。本レーザが、高度情報化社会を支えていると言っても過言ではない。
2. 青色発光ダイオードで知られる窒化物半導体:素子応用を鑑み、1987年にInGaAlNを提案(図1)。1989年、青色発光材料InGaNの単結晶薄膜成長。1991年、InGaNのフォトルミネッセンスを観測。本技術は、市販の青色LED作製の標準技術。最近では、窒化物半導体のエピタキシャル成長に適した加圧型有機金属気相成長(MOVPE)装置を新たに開発し、結晶品質の向上に成功している(図2)。
3. 高周波・高出力・高耐圧トランジスタの開発:携帯電話の基地局用増幅器にはGa極性HEMTが既に実用化されているが、5Gにおける伝送容量1Tb/sに必要な30GHzをGaN自立基板の作製から進めている。その特徴は、結晶極性の制御(図3)、特にN極性成長技術を基礎にしている。携帯電話の基地局用増幅器にはGa極性HEMTが既に実用化されているが、5Gにおける伝送容量1Tb/sに必要な30GHzで動作できるN極性HEMTが嘱望されている。研究室では、N極性HEMTの直流動作を実現している。
■産学連携の可能性(想定される用途・業界)
分布帰還型レーザ:サブミクロン周期構造の作製、微細構造を有する半導体基板上への薄膜成長、レーザの作製プロセスおよび素子評価技術、レーザシミュレーション窒化物半導体:有機金属気相成長法、結晶の評価、発光素子・太陽電池・電子デバイスの作製と評価の技術
■本原稿は、主に『東北大学 研究シーズ集』(http://www.rpip.tohoku.ac.jp/seeds/lang:jp/)からの転用である。
■研究室ウェブサイト:http://www.matsuoka-lab.imr.tohoku.ac.jp/