認知症予防に対するアロマセラピーの可能性
- 2018/6/25
- 産学連携事例
鳥取大学医学部保健学科 生体制御学
助教 谷口美也子 教授 浦上克哉
認知症のイメージ
・ 最もなりたくない ・ みっともない ・ 怖い ・ 自分でなくなる ・ 目を背けたい
・ みじめ ・ 人に迷惑をかける ・ バカになった
癌や消化器疾患などと同じ「病気の1つ」
65歳以上の10人に1人は認知症 日本の患者数は、300万人
認知症の抱える社会問題
・ 医療費の増大
・ 患者本人の尊厳 ・QOLの低下
・ 介護者の負担(身体的・精神的)の増加
・ 患者・介護者の経済被害
介護者の離職など
患者の詐欺被害
・ 患者の犯罪(加害)行為
窃盗・自動車事故
痴漢
認知症とは?
「獲得した知的機能が後天的な脳の器質性障害によって持続的に低下し、日常生活や社会生活が営めなくなっている状態」
中核症状
記憶障害 見当識障害 判断力の障害 言語障害(失語)失行・失認 実行機能障害
周辺症状(BPSD)
徘徊 暴言 ・暴力行為 幻覚、幻聴、幻視 妄想 せん妄 不安、抑うつ など
認知症の種類(認知症をきたす疾患)
退行神経変性疾患 異常タンパクの蓄積による病変とそれによる神経変性・細胞死
・ アルツハイマ―型認知症
・ レビー小体型認知症
・ 前頭側頭型認知症
ピック病
・ 進行性核上性麻痺
・ 大脳皮質基底核変性症
・脳血管性認知症
感染による
・クロイツフェルトヤコブ病
・髄膜脳炎
治療可能な認知症
・甲状腺機能低下症
・正常圧水頭症
など
アルツハイマ ー型認知症( AD)
ADは、認知症の1/2 (20人に1人)
鳥取県の人口 585,475人
うち65歳以上:153 376人 (平成23年10月1日現在)
※ 65歳未満に発症 : 若年性AD
ADに対する治療薬
進行抑制薬
アリセプト(1999年11月 日本発売)
レミニール 2011年 日本発売
メマリー 2011年 日本発売
リバスチグミンパッチ 2011年 日本発売
周辺症状に対する対症療法
向精神薬
抑肝散 など
根本治療薬は? ・・・ ない
認知症に対する補完・代替医療
目的
・日常生活活動(ADL activities of daily living)の改善
・ 生活の質(QOL: quality of life)の向上
・ 健康の増進・維持
・治未病
アロマセラピー (芳香療法)とは?
精油を用いた治療法(補完・代替医療)
1920年代 フランス人科学者ルネ フランス人科学者ルネ・ モー リス ・ガットフォッセが提唱
日本では、1980年代以降に広まる。
認知症に対する効果
不穏・ 興奮状態を改善
睡眠の改善
などの報告がある
ア ロマセラピー の医療現場での活用
メディカルアロマセラピー
【使用診療科】
・ 神経科・心療内科
・ 産科・婦人科・助産院
・ 小児科
・ 歯科
【使用目的】
・ ストレスケア ・ ベビーマッサージ
・メンタル ケア ・ リラックス
【使用方法】
吸入,マッサージ,足浴 ほか
アロマセラピーの利点
・ 比較的副作用の少ない方法である
・ 誰にでも簡単にできる
・多様 な使用法がある
芳香浴(吸入) マッサージ
入浴(沐浴) 手浴・足浴
など
アロマセラピー の注意点
使用法 使用量 成分に注意すること
特に、成分とその作用
毒性・光毒性
感作(アレルギー反応)
乳幼児・子供に対する注意
運転前
ガン・高血圧・喘息・てんかん・妊娠 ほか
子宮収縮作用 ・ホル モン様作用 ・血管収縮作用・刺激など
オーガニックであること
化学合成品は、肝機能に影響を及ぼす可能性
認知症の予防や改善に関する研究の最大の課題
・ 認知症の診断
専門医でなければ難しい診断・鑑別診断
認知症の検査は、病院でのみ可能
CT・MRI・PET・SPECT
神経心理学検査 ・・・臨床心理士
血液検査・髄液検査
・認知機能の評価
何の指標をもって認知症が改善したと評価するのか
私たちのなすべきこと
認知症の民間療法などは、ありとあらゆる情報があふれている
食事・運動療法・作業療法・サプリメント・・・
↓
大学という(医療関係の)教育研究機関として
・ 正しく確かな科学的証拠 医学的根拠に基いた
予防・治療法の研究開発を行う
・ 社会へ還元する